雲行きが怪しいとても肌寒い朝。
ただでさえ伸るか反るかの博打的要素が強い運任せともいえる九頭龍本流ヤマメ釣り。
はたして彼らは応えてくれるか・・・心配が尽きない出発でした。
一箇所目はイキナリの本命場所。
鮎が入れば一気にフィッシュイーター化してルアーに対する反応もすこぶる良くなるのが常だけれど、今はまだそんな時期じゃない。
とはいえ、普段から激戦区でならす氏であるし、もとより自信のあるルアーで攻めるのが一番いう判断で、確率の高いレーンなど最小限のアドバイスのみで好きなように釣ってもらいました。
手を変え品を換えながら釣り下っていき、最後のポジションでは気合の数投もむなしく異常なし。
ただ、僕的に何か引っかかるものが胸の中にあったので、「やまけんさん、もう一投だけやりましょうよ」と申し出た。
泣きの一投は、ここぞというレーンを流れ下りながら、食い波に乗ったと表現し得る、これまたいい感じでラインが引き込まれながら流れていった。
少しアップ気味に投じられたルアーが僕らの正面を過ぎた直後だったろうか、いかにもな感じでルアーが馴染んだようにラインから見てとれた僕が、「来るならここでしょう」と言い終わるか終わらないかというタイミングでやまけん氏から「ヒット!」の声が上がった。
なんてドラマティックな展開だろうか(^^ゞ
そうしてネットに収まったのは、尺には満たないが、美しく筋肉質な、間違いなく本流育ちの九頭龍本流ヤマメ。
ちょっと出来すぎな一幕であったが、とにかく二人して、たった今起きたミラクルを愉しんだのは言うまでもない。
二箇所目も一箇所目にひけを取らない大場所。
水位は高めだったものの濁りも勝負にならないほどではなく、なんとなくだけれどイケそうな感じだった。
と思ったのもつかの間、いきなりの雨。
やまけん氏、雨の中でもめげずにKeep Casting。
「根気」・・・これが本流では実は一番必要だったりする。
しかし、この場所は不発。
その後も何箇所か回るが、行く先々で反応があるのはウグイのみ。
東京に帰る電車の時間も刻々と迫ってきた。
さすがに本流。一筋縄ではいかない。
ガイドとしてもちょっと焦ってきたのは秘密であった(苦笑)
思案の末に選んだのは、増水傾向な本流に流れ込む支流のマウス部より少し入った流れの効いている淵。
底には大岩がゴロゴロ入った一級エリアだ。
ここで何か起きなかったらガイド失敗、の気合で臨むラスト大場所であった。
支流とはいえ、ここでも増水の影響により思うようにルアーを通しにくい状況。
それでも手を変え品を替え丁寧に釣り下るやまけん氏。
そうこうしているうちにオーラススポット。
ここで出なければThe ENDという場面で、ルアーをスピナーにチェンジ。
シーズン的にもまだミノーフィーダー化していないだろうし、この日は午後になってヒゲナガなどの水生昆虫もハッチし始めていたので、小さめのルアーが効果的なのではという判断からだったが・・・
ルアーチェンジから僅か二投目。
それは思いがけない結果だった。
本流からの流れで頭の中がヤマメ一色になっている僕らの前に姿を現してくれたのは12-3寸クラスのイワナ。
イワナらしいずんぐりとした体形や立派な胸鰭、とても口に指など入れれようはずがないほどの羅列した歯・・・どれをとっても完璧な個体。
そして、それよりもなによりも、タイムアップ寸前の土壇場で得たドラマティックな釣果は本人にとっても至上の喜びであったろうし、もとより案内役の僕にとっても珠玉であったことは言うまでもない。
それは、今回の遠征の最後を締めくくるに相応しい魚を撮影する氏の満面の笑顔からも十二分に伝わってきた。
これで心置きなく釣りを終えることができたので、この後は福井県立恐竜博物館と、もう一つの福井名物「ソースかつ丼」をご堪能いただき終了。
そして、お互い6/10の再会を確認して、氏は東京行きの列車に乗り込んだのだった。
・・・END
この三日間で九頭龍水系の渓魚達と福井グルメをめいっぱい楽しんでもらえたのではと思う。
EGOISTic River Guide Serviceとしてはかなり上出来な三日間であったし、やまけん氏にしても、あれだけ多くの渓魚が棲む川での釣りはそうそうないと感動いただけたようだ。
しかし、それもこれも魚が居てくれたからの結果であると、終わってみてあらためて思う。
一見すると乱暴に見えるフックを持ってポイっとリリースするやり方や、あとで撮影したいからとSchindler Live Bagを利用しての一時キープも、全ては魚を必要以上に弱らせたり殺したりしないためなのだ。
毎度毎度口うるさく聞こえるかもしれないけれど、川に魚が生きていること・・・本来当たり前のことのはずが、それが非常に成り立ち難い釣り場環境として日本中のあちらこちらに在るということを我々釣り人は再認識すべきだと思う。
ただただ釣果のみに囚われ損得勘定でしか釣りを語れぬ浅薄者に「遊びや趣味としての釣り」を語る資格などない。
自信を律するルールを以て遊びに臨む志向性を持たぬ者はアングラーとは呼べないと僕は考えるのだ。
【イベントについて】
来る6/10(日)に奈良子釣りセンターさんで開催予定のスクールの参加申し込みは、定員を超えるお申し込みをいただきましたので、いったん締め切らせていただきます。
セミナー用Leafの製作スケジュールもございますので、何卒ご理解いただきますようお願いいたしますm(__)m
ただし、どうしてもという方はやぶさかではございませんので、ご一報くださいませ。
※ただ今のBGM Follow you-ケンカしても- by 堀ちえみ